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技適マークのない海外ガジェットを日本で使うとどうなるか

海外のガジェットを買うときに必ずぶつかる話です。当メディアの記事61本のうち52本がこの問題に触れています。そこで毎回書いている判断を、1ページにまとめました。

最終確認 2026-09-02

先に結論

技適マークのない機器を持っているだけなら違法ではありません。違法になるのは、その機器で電波を出したときです。

ここを混同している解説が多いのですが、電波法が禁じているのは「不法無線局の開設・運用」であって、所持そのものではありません。輸入して手元に置く、分解して眺める、電源を入れずに飾る。これらは電波法の問題になりません。

問題になるのは、Wi-Fi や Bluetooth や携帯回線をオンにして通信した瞬間です。

罰則はどうなっているか

技適を受けていない無線設備で無線局を開設・運用した場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

さらに、その電波が重要な無線通信を妨害した場合は 5年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金 と重くなります。

「懲役」ではなく「拘禁刑」です。 2025年6月1日施行の改正刑法で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。それ以前に書かれた解説記事は「1年以下の懲役」と書いていますが、金額と年数は変わっていません。

実際に摘発されるのか

正直に書きます。Wi-Fi や Bluetooth レベルの違反で摘発された例は、ほとんど確認できません。

総務省の電波監視は DEURAS というシステムで不法電波の発射源を探しますが、これは重要無線通信への妨害を主な対象にしています。過去の取材記事では、総務省の監視官自身が「技適なしの海外スマホを使って捕まった人はまだいないと思う」と述べています。

ただし、これは「合法である」という意味ではまったくありません。摘発が少ないことと、違法でないことは別の話です。 当メディアが記事で技適を毎回確認しているのは、読者に「捕まるぞ」と脅すためではなく、買ったあとに使えないものを勧めないためです。

対象になるもの、ならないもの

判断の基準は単純で、その機器が自分から電波を出すかどうかです。

技適が要る 技適が要らない
Wi-Fi を積む機器 有線USB接続だけの機器
Bluetooth を積む機器 電子部品を持たない製品
携帯回線(4G/5G)を使う機器 モーター・ヒーターなど電波を出さない家電
LoRa などの特定小電力無線 受信専用のもの(ラジオ等)

当メディアで実際に判断した例を挙げます。

周波数帯という落とし穴

技適の話で見落とされやすいのが、同じ規格でも国ごとに使える周波数が違うという点です。

LoRa がその典型で、EU は 868MHz、米国は 915MHz、日本は 920MHz 帯です。「技適を取っていないだけ」ではなく、そもそも日本で割り当てられていない周波数を使う設定で出荷されていることがあります。この場合、技適を後から取ることも現実的ではありません。

Wi-Fi にも似た問題があります。5GHz 帯の一部チャンネルは屋外利用が制限されており、海外モデルがそのまま使える保証はありません。

買う前にどう確認するか

1. 総務省のデータベースで引く

総務省は技適を受けた機器の検索ページを公開しており、メーカー名や技適番号から確認できます。

ただし、これで出てこなくても「技適なし」と断定してはいけません。 認証申請時の型番と、店頭やECサイトでの表記が一致しないことが珍しくないためです。確実なのは技適番号そのもので引くことですが、番号は現物か販売ページの表示を見ないと分かりません。

もう一つの注意点として、技適マークと呼ばれるものには根拠法の違う2種類があります。 電波法側(Rマーク)と電気通信事業法側(Tマーク)で、データベースも別々です。片方だけ見て判断すると間違えます。

2. 正規流通で買う、を判断の代わりにする

現実的にはこれが最も確実です。技適のない無線機を日本国内で販売するのは違法なので、メーカー公式か日本の正規代理店が国内で売っている時点で、技適は通っているとみなせます。

罠は2つあります。並行輸入品と、マーケットプレイスの出品です。Amazon に出ているというだけでは安全の根拠になりません。深圳から直送される非技適品が普通に並んでいます。販売元がメーカーか正規代理店かを見てください。

この考え方で製品を選んだ例がレトロデザインの特集です。技適の状況を一次ソースで確認できたものだけを並べ、確認が取れなかった製品は理由を書いて外しています。

180日だけ使える特例制度がある

あまり知られていませんが、技適を取っていない海外機器を、届出をすれば180日間だけ合法に使える制度があります。2019年11月に総務省が開設した「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」です。

条件があります。

海外のクラウドファンディングで支援した機器を検証したい、といった場面では使えます。ただし手続きの手間と180日という期限を考えると、国内で技適取得済みの製品を買えるならそちらのほうが早いのが実情です。

PSE と混同しない

技適とよく一緒に語られますが、PSE は別の法律です。

技適 PSE
根拠法 電波法 電気用品安全法
対象 電波を出す機器 電気用品(ACアダプタ、充電器など)
誰の義務か 使う人(電波を出す人) 売る人(製造・輸入・販売事業者)

電波を出さない機器でも、付属のACアダプタは PSE の対象になりえます。 当メディアで扱ったDIISEA C7 という携帯型カーウォッシャーがその例で、本体は無線を持たないので技適は不要ですが、付属の USB-C 充電器を国内で使う場合は PSE が論点になります。

「技適不要だから安心」ではありません。 確認する対象が違うだけです。

よくある誤解

「技適なしでも機内モードなら使える」 — 電波を出さない状態であれば電波法の問題は生じません。ただし Wi-Fi や Bluetooth を個別にオンにできる端末が多く、うっかり有効になる事故が起きます。オフライン専用機として割り切れるかどうかで判断してください。

「クラウドファンディングで支援したものは技適が付いてくる」 — そうとは限りません。当メディアが扱った案件でも、Bigme HiBreak Dual 2AWOL Vision Aetherion は、プロジェクトページに技適の記載が見当たりませんでした。国内クラウドファンディングであっても、技適の記載がないことはあります。

「メーカーが日本に発送してくれるなら合法」 — 発送の可否と技適は無関係です。海外メーカーは日本の電波法を確認する義務を負いません。

この記事の位置づけ

当メディアは海外ガジェットを扱う都合上、記事の85%で技適に触れています。 個別の記事ではその製品についての判断しか書けないため、共通する考え方をこのページにまとめました。

法令の解釈について最終的な判断を示すものではありません。実際の適用については総務省または専門家にご確認ください。掲載時点の情報であり、制度が変更される可能性があります。

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